アフリカゾウの密猟組織を追うノンフィクション 象牙の印鑑は不要です【書評】

象牙のためにアフリカゾウが乱獲され、絶滅の危機にあります。
この事実を知っていましたか?

すいません。私は知りませんでした。

私はノンフィクションはあまり読まないのですが、新しい世界が開けたような気がします。

これを、「面白い」といったら適切な表現ではないかもしれませんが、間違いなく読み応えのある、読む価値のある作品です。

Amazonのレビューでは、4.7(2019年11月10日現在)となっています。
かなり高評価ですね。8割の方が満点の星5つです。

牙Amazonレビュー画像引用:Amazonのレビュー

第25回小学館ノンフィクション大賞を受賞

実は、この賞を受賞しているというのは、本書を手にした後に知りました。

もともと読もうと思ったきっかけは、第2回ノンフィクション本大賞にノミネートされていたからです。
(おしくも大賞はとれませんでした)

今までは、ノンフィクションはあまり読んでいませんでした。
メインは、実用書、小説を少々といったところです。
小説についても、気に入った作家さんの作品は全部読みたくなってしまいますが、何かの賞をとったものや、そのノミネート作品といった比較的広く知られたものしか読んでいません。

たまたま、ブクログのメルマガで、第2回ノンフィクション本大賞が決定したというニュースを見ました。

その時に、そういえば今まではノンフィクションはあまり読んでないな…
と気づいて、ノミネート作品も含めて読んでみようと思い立ちました。

本を読むのって、結構時間がかかります。
私の場合は、新しいジャンルの本に手をだすときは、まず評価の高いものやベストセラー本を読んで、そこから広げていくように読んでいきます。

いわゆる、面白くない「失敗本」にあたる確率が減るので、おススメの読書法です。

日本人の知らない密猟の実態

前置きが長くなりましたが…、

アフリカゾウが乱獲されており、その個体数が激減しているという事実を多くの方は知らないのではないでしょうか?

ノンフィクションのだいご味として、今まで知らなかった世界を知ることができるという点があります。
今回は、まさにコレでした。

乱獲の原因は、象牙が高値で売れるから

そして、それを買い取っている(いた)のは、中国や日本。

!!! 日本も!

そうなんです。日本では象牙の印鑑が、好んで使われています。
確かに、私も象牙製品は高級品というイメージをもっていました。

当然、アフリカゾウの狩猟は禁止されています(最近解禁された国もあるようですが)。
しかし、高値で売れるなら密猟も横行してしまうでしょう。

本書では、この密猟をしている組織の正体を追っています。
ときには、行き詰ったり、危険が迫ったり。
非常に緊迫感が伝わってきて、まるでドラマのように作品に引き込まれていきます。

日本の対応は世界の恥

そして、終盤にはワシントン条約締結国会議について書かれています。

結果については、各種メディアを通じて知っている方もいるかもしれません。
しかし、その会議の中で行われた駆け引きについては、詳しく伝わっていないのではないでしょうか?

正直なところ、会議での日本の対応は「世界の恥」だと感じました。
(手のひらを返したように)象牙の取引を一切禁止すると宣言した中国とは対照的です。

本書を読むと、「今後は象牙製品を買いたくない」と感じると思います。
詳細は伏せますが、ぜひみなさんも本書を読んで、感じていただきたいところです。

日本は、特定の業界を保護しすぎです。

少し前に、IT担当相がペーパーレスと印鑑文化の両立を図ると言って炎上しました。
他にも、タクシー業界を保護するために日本ではUberが普及していませんし、宿泊業界を守るためにAirbnbも使えません。
自動運転も特区を作って実験はしていますが、法を改正するのはしり込みするでしょう。

このままでは、規制が厳しすぎて、どんどん世界から遅れをとっていってしまいます。

まとめ

私にとっては、衝撃的な内容でした。

象牙を持ち去るために、生きたまま顔をえぐり取られた象の写真も掲載されています。
こんなことが起きているなんて…。

みなさんにも、ぜひこの事実を知っていただきたい、
そして、象牙の取引が全面的に禁止されるようになって欲しい。
そう感じた作品です。

ノンフィクションを読まない方にもおススメです。

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